心やさしい釣具店
- 2019/02/03
- 21:00
フェリー埠頭の近くに、
50代ぐらいの夫婦が経営する、
釣具店があります。
そうそう♪
あの赤い三角屋根の小さなお店です。
わたしは、そこで、釣り針を探していたのですが、
お客さんが入ってきました。
「いらっしゃい♪」
旦那さんの声です。
「いやぁ~、よく来たねぇ~」
「寒いだろう。ちょっと待ってね」
店主は、店の奥に向かって、
「お母さ~ん!! ホットココア、持って来てぇ~!!」
ずいぶんとサービスのいいお店だな…と思いました。
商品の陰に隠れて、姿は見えないのですが、
どうやら、そのお客さんは、小学生らしいのです。
その小さなお客さんが、ココアを待つ間、
お店の商品を物色し始めました。
チョコチョコ、動き回っているのが、わかります。
わたしの背後をすり抜けようとするのですが、
商品棚との間隔が狭くて、通れないようなのでした。
それで、道を開けようと、身体を前の方に詰め、
その男の子を見たのです。
そしたら、その男の子、
全身、ずぶぬれなのでありました。
通り抜けようとした時、
その男の子と目が合いました。
ゾッとしました。
鳥肌が立ちました。
「驚かれたでしょう?」
不意に隣の男に声をかけられました。
「この子、去年、海に落ちたんです」
えっ!!…って感じです。
去年…って。
ああ、道理で、全身、ずぶぬれなわけだ…
…って、納得できるわけがありません。
海に落ちたのは、去年なんでしょう…
もう怖くなって、お店を出ることにしました。
急いで、釣り針の小袋を手に取り、
レジに向かいました。
レジ台に商品を置くと、店主が、
「驚かれたでしょう?」
いや、驚いたというか、ゾッとしたというか、
ともかく早く会計をしてほしいんです。
でも、店主は、やさしい笑顔で、話を続けるのでした。
「去年、海に落ちて、亡くなったんですけどね…」
「うちの常連さんでね…」
「亡くなってからも、時々、こうして来てくれるんですよね…」
「あの親子…」
ん?
親子って…
先ほど話しかけてきた男を見ると、
その男は、笑顔で会釈するのでありました。
たぶん、テレビで、
息子の友達が川に落ちたのを助けようと、
川に飛び込んで、亡くなった…というニュースを見て、
それで、こんな夢を見てしまったのでしょう☆
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